プロバイオティック・ヨーグルトの血糖や血管に与える影響

今日の論文はこちら、
『Effects of probiotic yogurt on glycemic indexes and endothelial dysfunction markers in patients with metabolic syndrome』
Rezazadeh L et al. Nutrition. 2019 Jun;62:162-168.
プロバイオティック・ヨーグルトいわゆる乳酸菌含有量が豊富なヨーグルトが、血糖や血管内皮機能に良い影響を与えるかどうかを検討した研究ですね。
メタボリックシンドロームの男女22名ずつ計44名に、プロバイオティック・ヨーグルトを摂取させる群と一般的なヨーグルトを摂取させる群に分け、無作為二重盲検プラセボ比較試験で実施されているので、デザイン的にもしっかりした研究です。
ただし、この研究で使われた乳酸菌ヨーグルトは、乳酸菌La5とビフィズス菌Bb12を1日300g摂取してるので、相当な量である点は注意が必要です。
介入期間は8週間。

患者背景や食事摂取量に関しては、群間差は認められなかった。

図1.男女比率・年齢・体重・BMI・研究期間中の身体活動に関しては、群間差は認められていない。
図2.カロリー摂取量や各栄養素のバランスも両群同レベル

ポイント1:プロバイオティック・ヨーグルトは空腹時血糖値を改善する

図3のように、プロバイオティック・ヨーグルトは、介入前後で比較した場合でも、一般的なヨーグルトと比較した場合でも、空腹時血糖値を有意に改善する。インスリン分泌量が下がっているにも関わらず、血糖が下がるというのは非常に興味深く、インスリンに依存しない何らかのメカニズムが存在するのかもしれませんね。

図3.

ポイント2:プロバイオティック・ヨーグルトは、インスリン抵抗性を改善する

図4のように、プロバイオティック・ヨーグルトは、介入前と比較してインスリン抵抗性を改善した。ただし、一般的なヨーグルトとの比較では有意差はなかった。
また、ここでも、HOMA-βは特に変化がないところを見ると、やはりβ細胞とは独立した血糖低下作用がありそうです。
インスリンを増やさずに血糖を下げるというのは、脂肪蓄積や肥満予防という点からも好ましい作用と言えますね。

図4.

ポイント3:プロバイオティック・ヨーグルトは、血管内皮機能を改善する

今回測定したマーカーは、VCAM-1、ICAM-1、PAI-1であるが、そのうち、VCAM-1においては、ベースラインからも、一般的なヨーグルトとの比較においても、有意差をもって改善した。
この論文の著者は、内皮機能の改善は、血糖の低下によるものとしている。

プロバイオティック・ヨーグルトは、何故血糖を低下させるのか?

論文中には、以下の記載があった。

  1. 腸内細菌叢の調節、小腸環境の変化、腸管の透過性、遺伝子発現、免疫反応制御
  2. 小腸上皮のプロバイオティクスの定着の結果、小腸での糖吸収が抑制され、主要なエネルギーとして糖利用が促進されることにより、血糖が低下する
  3. プロバイオティクスの摂取が、直接的にヒトの炎症状態や血糖に影響を与えるとする研究報告もある

しかしながら、プロバイオティック・ヨーグルトが血糖を下げないという真逆の研究結果があることも事実

例えば、このメタ解析では、プロバイオティック・ヨーグルトが一般的なヨーグルトと比べ、血糖に対するメリットを示せていない。Nutrients. 2019 Mar 20;11(3).
論文の著者は、こうした不一致については、
・介入期間が短かい
・サプリメントの量が少ない
・キャリアのタイプの違い
・ベースラインの血糖値の違い
・サンプルサイズが少ない
・研究参加者の背景の違い
などに理由があるのではと述べている。

私見

生きたまま腸に届く乳酸菌が、血糖やその他の多面的な作用をもたらすというのは、その通りだと思いますが、こうした研究では、摂取量がものすごく多いのと、ある程度長い期間摂取したうえでの成果であるということに注意が必要です。
日常生活の中でこれを再現しようとすると、やや高価なヨーグルトを毎日300g、長期間にわたって食べ続けるというのは、経済的な面からも相当な負担を強いられるのではと思われます。

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